本研究で開発した自動飛行する小型無人飛行機の飛行データを解析した。その結果、ガソリンエンジンから発生する電磁ノイズは電磁シールドにより磁力計に大きな影響を与えていなかったが、プラグ電圧を低下させていることが判明した。風が7m以下と弱かった桜島での実験では、自動飛行によるルートの誤差は30m以内で、単独測位GPSと同程度の誤差範囲内で、満足できる結果であった。高度は旋回中に約30m下降し、その後急上昇し設定高度を約20mオーバーシュートしていた。設定高度を±10m以内で飛行するには、旋回終了後少なくとも250mの直線距離が必要であることが判明した。しかし、22m/sの最大風速が235°の方向から吹いていた鳥海山での飛行実験では、飛行ルートは風上側でコースの逸脱はほとんど見られなかったが、風下側では100m近くルートが流された。東西方向の直線飛行のルートは満足できるものであったが、コースは絶えず修正され、機体は絶えず揺動していたことが推定される。以上の結果、我々の開発した小型無人機の場合、風が弱い時は単独GPS測位の精度以内の飛行が行われるが、風が強いときには設定ルートからの逸脱や、機体姿勢の修正のため多くのエネルギーが消耗することが分かった。 第46次南極観測隊(越冬隊)に本機を託し、越冬期間中に飛行実験を試みた。低温でのエンジン始動や平坦な滑走路の確保の困難さから、地上滑走実験のみで、飛行は行われなかった。南極で高度なラジコン技術を持たない隊員が小型無人航空機で空中磁場探査を行うには、カタパルトの開発が不可欠である。 本研究で開発した機体と飛行実験の結果は2006年1月に行われたInternational Symposium on Airborne Geophysics 2006で報告した。
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