・本研究は、氷期の海水準低下時において、宇宙線の作用によって地表下の物質中に生成する超微量の放射性同位体を加速器質量分析法で測定することにより、大陸と日本の間の陸橋形成に関わる海水準変動を直接計測する新しい方法を目指している。平成15年5月末-6月初旬に海外共同研究者のK.Kim博士(New Mexico大学)を招聘し、共同研究者の堀内、研究協力者の松崎浩之助教授(東京大学・原子力研究総合センター)と、計画の具体化に関し打ち合わせを行った。 ・試料調査については、新たに、下北半島の沿岸について地上部分も含めて試料採取を行い標高(あるいは海面深度)と照射年代との関係を明らかにする計画を立てている。平成15年度は関係者の時間調整が難しかったことから、平成16年度春から夏にかけてフィールド調査を行うこととした。 ・これまで準備研究として行ってきた研究成果をK.Kim、R.Finkel両氏(Lawrence Liveremore National Laboratory)との共同論文として、平成15年9月に倉敷市で開催された13th Annual V.M.Goldschmidt Conferenceに発表した。 ・海底の岩石表面に付着した生物起源炭素の炭素14測定を、可能なケースについて本研究に取り入れることとした。極氷期における、大気炭素14濃度変化を明らかにするため、約2万年前の埋没材(400年輪)について炭素14測定を進行中である。
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