研究概要 |
1、平成15年度の成果に基づき,直径5cm,長さ95cmのパイレックスガラス管に,ヘリカル型の高周波(RF)アンテナを巻き付け,その中心に補助電極としてSUSパイプを挿入した,容量結合支援誘導結合型高周波放電による高気圧反応性プラズマ発生装置を用いた. 2、Si^+から成るプラズマの原料ガスとしてヘキサメチルジシロキサンHMDSO[O(Si(CH_3)_3)_2]を用いて,アルゴン(Ar)との混合ガス(HMDSO:Ar=1:10)を真空容器内に導入し,アンテナにRF電力(13.56MHz,500W)を印加することでプラズマを生成した. 3、低ガス圧(≦10^2Pa)の場合,プラズマは装置全体に広がるが,ガス圧を増加させると装置中心部に設置したRFコイルの周辺のみに局在化し,冷却・凝集反応を必要とするシリコンクラスター形成において有効に作用していると考えられる. 4、発光分光器(OES)を用いた発光スペクトル測定によって,HMDSOに由来するCHやSi(I)ラジカルの発光スペクトルが検出され,相対強度測定から10^3Pa近傍で効率よくSi(I)ラジカルが得られることが明らかとなった. 5、中心SUSパイプへの堆積物をレーザーイオン化飛行時間型質量分析器(LD-TOF MS)により質量測定を行った結果,Siに相当する質量数28の質量ピークとともに,12もしくは14間隔の周期的な質量ピークが検出された. 6、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果から直径数十nmの球状物質が存在することが明らかとなり,X線光電子分光器(XPS)による結果からSi-Cの結合を持つ物質であることが確認された. 7、以上の結果から,HMDSO-Arプラズマを生成することで周期的質量数を持つナノ物質が形成されており,XPS測定からSi-C結合を持つシリコンクラスターであると考えられる.異原子内包球殻構造ナノシリコン物質創製のため,鉄及びジルコニウムを含むガスを上記プラズマ中に導入する実験を継続して行っている.
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