研究概要 |
本研究は,電子移動などの様々な超高速現象の外部電場効果を測定することができるフェムト秒時間分解電場変調分光法の開発を行なうことを目的とする。本年度は,現有のパルス幅約100fs,波長800nm,繰り返し周波数76MHzのフェムト秒チタンサファイアレーザーを用いて,アップコンバージョン法によるフェムト秒時間分解電場蛍光分光システムの開発を行った。チタンサファイアレーザーからの出力光を2つに分け,片方は3倍波に変換し試料を励起するためのポンプ光とする。他方はアップコンバージョン用のプローブ光とし,可変の光学遅延を通す。プローブ光の可変の光学遅延には自動ステージを用い,数フェムト秒オーダーの自動掃引が行えるように設定した。ポンプ光よって生じた試料からの蛍光とプローブ光を,非線形光学結晶に入射する。蛍光とプローブ光から生じた和周波光を,バンドパスフィルターおよび分光器を用いて迷光除去を行い,フォトンカウンティング用光電子増倍管とフォトンカウンタを用いて検出する。光学遅延を掃引し,フェムト秒オーダーの時間分解を行う。電場変調測定は,電場のオン・オフによる強度差方式を用いた。遅延時間を固定した状態において,DC電場を40Hz程度の繰り返しでオン・オフを行う。オンとオフの強度差をある一定時間積算して次の遅延時間に移動し,時間分解蛍光強度の電場効果成分を得ることができる。電場変調システムから出力されるトリガーパルスを用いて,自動ステージと電場変調システムとの同期をとるようにしている。現在,VISUAL BASICで制御プログラムを書き,自動測定が行えるように設定している。
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