研究概要 |
本研究第一年度の成果として、下記の知見を新しく得ることができた。 1 ハロゲン化アルキルの脱離反応および求核置換反応に対するレーザーパルス照射の効果の検討 キセノン励起YAGレーザーの波長変換によって得られた、エネルギー密度0.06-0.22mJ・cm^<-2>の赤外パルスレーザー光を照射した際に起こる化学変化について、2-ブロモプロパン(照射波長8130nmおよび3351nm)、トリエチルアミン-2-ブロモプロパン混合気体(照射波長3355nm)および1-ブロモ-1-クロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(照射波長3315nm)を基質として検討した。その結果、これらの化合物は当該波長レーザー照射(30分-90分)に対して感受性を示さないことがわかった。一方、3-クロロ-1-ブテンに対し波長3342nmのパルスレーザー光を3時間(108,000パルス)照射したところ、1-クロロ-2-ブテンへの異性化を示唆する結果が得られた。 2 カルボニル求核置換反応に関する予備検討 オクタン酸メチルとp-トルアルデヒドの等量混合物に対するトリメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化エチル亜鉛-1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノール、ジエチル亜鉛-1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノール、および、臭化エチルマグネシウムと無水塩化セリウム(III)から調製されるエチルセリウム反応剤による競争的求核付加反応の官能基選択性を調査した。その結果、トリメチルアルミニウム、ジエチル亜鉛-1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノール、およびエチルセリウム反応剤を求核剤とした場合に、オクタン酸メチルに対するアルキル化が進行し、対応する第二級アルコールが得られることが明らかとなった。その他の反応剤を用いた場合は、求核付加が進行しないことがわかった。
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