研究概要 |
1 キラルテンプレートの合成および光学分割 trans-1-amino-2-indanol(1),cis-2-amino-1-indanol(2),cis-1-amino-2-tetrahydronaphthanol(3),2amino-1,2-diphenylethanol(4)(直鎖の系)の合成を行って,化合物(1)および(4)の光学分割を行ったが,trans体は塩を外すと不安定で,取り扱いが非常に難しい。 2 ストレッカー反応による基質合成 合成した全てのテンプレートとベンズアルデヒドとのストレカー反応を行い,相当するアミノニトリル体を収率よく得た。さらに,cis-1-amino-2-indanolと種々ベンズアルデヒド類(ベンズアルデヒド,p-メトキシベンズアルデヒド,p-メトキシカルボニルベンズアルデヒド。p-クロロベンズアルデヒド,p-ヒドロキシルベンズアルデヒド,2-フェニルアセトアルデヒドなど)とのストレッカー反応を行い,何れも高収率で相当するαアミノニトリルを得た。しかしながら,ケトン類との反応は収率が低く,今後検討を要する。 3 DSC測定および熱異性化 cis-1-amino-2-indanolとp-ヒドロキシルベンズアルデヒドとのストレッカー生成物以外は熱異性化に起因すると考えられる発熱ピークが観察された。 4 種々の物理データの測定および結晶構造と熱異性化の相関 cis-1-amino-2-indanolとベンズアルデヒドとのストレッカー生成物の4軸X線回折を行い,安定型がS体,不安定型がR体であることが判明した。さらに,加熱による熱異性化の刑事変化を粉末X線回折により追跡し,2種類の結晶が1種類の結晶に完全に収束することを確認した。 これらの結果は,国内の学会で2回発表し,現在欧文誌に投稿している。
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