研究課題/領域番号 |
15655039
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青木 俊樹 新潟大学, 工学部, 教授 (80212372)
|
研究分担者 |
金子 隆司 新潟大学, 工学部, 助手 (90272856)
寺口 昌宏 新潟大学, 工学部, 講師 (30334650)
|
キーワード | インプリンテイング法 / キラル分子孔 / 光学異性体分離膜 |
研究概要 |
分子インプリンテイング法(MIP法)は分離対象物質を鋳型分子として、これと主として2次結合を生じるモノマーと架橋剤とともに混合し、重合後鋳型分子を除去し、これを認識する空間を材料内に生じさせる方法である。MIP法で得られた高分子はHPLC固定相として分子混合物に対し分離能を示すが、膜としての例はほとんど無い。特に光学異性体分離は従来のMIP法では困難である。そこで本研究では研究代表者らが最近見出した「Siインプリンテイング法」を光学異性体分離膜の創製に有効に用いることを目的とした。「Siインプリンテイング法」は、従来のMIP法が主に2次結合を用いているのに対し、1次結合であるSiCあるいはSiO共有結合を用いている。したがって、より精密にインプリンテイングされたキラル分子孔の創製の可能性が考えられた。 本年度は、ポリフェニルアセチレンのパラ位にSiO共有結合を介して光学活性なピナニル基を持つ高分子を合成し、製膜した。この膜は光学異性体選択透過性を有していた。その後、膜状態で光学活性基を脱シリル化反応で取り除いた。除去は定量的に行うことができ、かつ膜強度を保っていた。得られた高分子膜は主鎖に光学活性を維持していることが分かった。そのため、光学活性基除去後も光学異性体選択透過性を有しており、Siインプリンティングによる光学異性体分離膜の創製が達成できた。また、この脱シリル化膜は脱シリル化前に比べて、透過速度の向上が見られた。さらにこの膜は有機溶媒に不溶なため従来使用できなかった疎水性の透過対象も分離対象として用いることが可能となった。この他に、光学活性基を持つ架橋高分子であるモノリスから光学活性基を脱シリル化反応で取り除いたモノリスが光学異性体の分離能を有することを見出し、Siインプリンティングの有効性の幅広さを示すことができた。
|