研究課題/領域番号 |
15655041
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
明石 満 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20145460)
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研究分担者 |
木田 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20234297)
芹澤 武 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (30284904)
金子 達雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20292047)
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キーワード | テンプレート重合 / 立体規則性 / 高分子超薄膜 / ポリメタクリル酸 / ステレオコンプレックス / ナノ空孔 / フリーラジカル重合 |
研究概要 |
水晶発振子(QCM)上に形成されたアイソタクチックポリメタクリル酸メチル(it-PMMA)の多孔性超薄膜を用いてのメタクリル酸のテンプレート重合データ(昨年度)を基に,QCM基板の代わりにシリカコロイド粒子上にit-PMMAの多孔性超薄膜を形成させ、その空孔内でのテンプレート重合について検討した。QCMの場合と同様に、シリカコロイド粒子上のit-PMMA/st-PMAA(1:2)ステレオコンプレックス超薄膜からst-PMAAを選択的に抽出して多孔性薄膜を作製し、メタクリル酸モノマーを重合させた。重合終了後、膜内で重合したポリメタクリル酸を抽出し、メチル化後に1^H NMRを測定した。α-メチルプロトンのシグナルから立体規則性を算出すると、ほぼ100%の規則性をもつst-PMAAが合成されていることが明らかになり、極めて高い立体規則性で進行するフリーラジカルテンプレート重合系の開発に初めて成功した。一方、多孔性膜外で重合されたポリメタクリル酸の規則性はmm:mr:rr=8:68:23となったことから、コンホメーション固定された膜内のit-PMMAがテンプレートとして働き、立体規則性重合が進行したことが分かった。さらに、得られたポリメタクリル酸をメチルル化後、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分子量を測定したところ、テンプレートとして用いたst-PMAAの分子量とほぼ同じ分子量をもつことが明らかとなり、立体規則性のみならず分子量の制御も達成できた。また、it-PMMA/st-PMAA(1:1)からなるステレオコンプレックス超薄膜から調製した多孔性st-PMAA超薄膜を用いることで、同様にフリーラジカル重合によりit-PMMAをテンプレート重合できた。この場合も、得られたit-PMMAの分子量がテンプレートの分子量とほぼ同じであることが分かった。このように、立体規則性メタクリレート高分子の交互積層により調整したステレオコンプレックス超薄膜から、片方の成分を選択的に抽出することで反応場を構築し、その膜内で効率良くテンプレート重合が達成されることを見出した。
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