バナナ形液晶はアキラル分子でありながら、液晶相で2つのキラルドメインに自然分掌することが知られている。少量のキラル分子をドープすることによって、キラルドメインサイズに偏りを持たせることができる。本研究ではキラル分子をドープせずに、キラル界面によって2つのキラルドメインのバランスを崩すことを試みた。用いた配向膜はキラル側鎖を有するポリイミドである。配向膜をスピンキャストした基板を用いてセルを作製し、バナナ形液晶を導入した。そのセルを等方相から徐冷したところ、配向膜の付いていないガラス、側鎖のないポリイミドと比較し、キラル側鎖を持つ配向膜では明らかに(1)得られるドメインサイズが大きい、(2)2つのキラルドメインに偏りが見られる、ことがわかった。顕微鏡観察、円偏光二色性による評価の結果、2つのキラルドメインは55:45に分かれていることが分かった。今後は配向膜の化学構造を検討し、液晶分子との相互作用の大きい側鎖を設計、合成することにより、さらに偏りを大きくすることが課題である。
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