アセチル化アルブミンをラットに免疫し、アセチル化されたアミノ末端アミノ酸に特異的なモノクローナル抗体の産生を試みたが、特異的な抗体は得られなかった。そこで、タンパク質を酵素消化後に、アミノ末端由来のペプチドだけを特異的に回収する方法の開発を試みた。まず、ラットをPTH化ラットアルブミンで免疫し、ハイブリドーマを作製、同抗原でスクリーニングし、抗PTH抗体を産生するクローンを作製した。ハイブリドーマ培養液からIgGを精製し、固定化カラムを作製し、アミノ末端由来ペプチド単離用カラムとした。次に、コブラ毒から精製した蛇毒成分を還元、ピリジノエチル化後、FITCでアミノ基を化学修飾した。ついで、Asp-Nで消化後、PITCでPTH化し、上記抗体カラムに通じた。すどおり分画のアミノ酸配列分析により、アミノ末端ペプチドに対応する配列を確認することができた。原理的には、アミノ末端がブロックされているタンパク質からもアミノ末端由来のトリプシン分解断片だけを単離できるので、得られたペプチドをマススペクトル分析することによりブロックされたアミノ末端に関する情報が得られるはずである。これらの知見に基づき、新年度は、各ステップでの実験条件をオプチマイズするとともに、系を微量化し、実用的な条件を確立したい。また、同様の手法でカルボキシル末端に対する化学修飾を試みたが、他のアミノ酸残基の側鎖に対する副反応などにより芳しい結果は得られなかった。これについては、さらに他の修飾試薬を検討している。
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