トリペプチド配列を特異認識する抗体の作成を2年連続して試みたが、トリペプチドの配列の前後に隣接するアミノ酸残基により抗体のエピトープに対する親和性が大きく影響されるため、トリペプチドだけをエピトープとして認識する抗体も作成できなかった。また、疎水性の高い3アミノ酸が連続する配列を認識する特異抗体を作成することもできなかった。従って、抗体ライブラリーでプロテインチップを作成しても、抗体との反応性のみ(すなわちチップの反応性のパターンだけ)からペプチドの一次構造を推定することは困難と思われた。タンパク質のアミノ基FITCを用いて化学修飾し、プロテアーゼで消化後にさらにPITCにより新出のアミノ基を化学修飾し、抗PITC抗体カラムに通じることにより、アミノ末端由来ペプチドを得る事は可能であったが、抗体カラムが安定性でないこと、再利用も困難なことから実用化にはさらなる工夫が必要と考えられる。検出系としてMALDI-TOFを用いることの可能な系(ゲノムデータベース等により質量数からだけでもある程度配列分析が可能な場合)では、比較的微量サンプルに対する化学修飾の条件を標準化することができれば、実用化もある程度可能であると思われた。また、微量化するには反応条件のさらなる検討が必要であるが、抗体カラムの代わりに固相化された活性カルボキシル基とODSカラムを併用して、アミノ基のブロックされたペプチドを選択的に濃縮することも可能であり、今後の検討課題である。
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