研究概要 |
四塩化チタン存在下における、ケトンとアミンの脱水縮合反応によるイミン結合(-C=N-)生成の繰り返しにより、フェニルアゾメチンデンドリマーを合成した。金属に塩化スズを用いた滴定をUV-visスペクトルにて追跡、イミン数と同数の30当量の塩化スズを添加するまで、錯形成によりスペクトルが変化した。さらに、2、4、8、16当量のスズの添加に伴って、等吸収点が4段階で移動する。これは、分子内に環境の異なる4種類のイミンが存在することを意味する。イミン数と金属添加量の当量関係から、金属がランダムに配位するのではなく、常識に反し塩化スズがデンドリマーの中心のイミンから外に向かって一層ずつ段階的に規則正しく配位(段階的放射状錯形成)することが明らかとなった。これにより金属の個数を決めることが可能になった。 塩化金のDPAイミンへの錯形成挙動をUV-visスペクトルにより観測し、等吸収点が2,4,8,16当量で4回シフトしたことから、塩化金がDPAイミンに対して1対1でコアから段階的に放射状に錯形成することが確認できた。また、溶液状態で特定個数の塩化金を導入したDPAに対し、固相状態でのUV照射と溶液状態での還元剤による還元の2種類の方法によりクラスター化を試みた。透過型電子顕微鏡よる直接観察より、UV照射と化学的還元の両方の場合についてクラスター形成を確認した。金の単分散クラスターを得る方法を確立、単電子デバイスへ展開を可能とするものである。
|