研究課題
今年度は、もっとも硬い酸化物とされるコチュナイト型構造の二酸化チタン相ならびにダイヤモンドに次ぐ超硬物質として知られる立方晶構造の窒化ホウ素について、より硬い物質への圧力誘起の相転移の可能性を実験で確かめた。二酸化チタンについては、出発物質にルチルを用いることとし、ルチルの粉末を白金粉と混ぜて、ダイヤモンドアンビルセル超高圧発生装置に封入した。アンビルとしてキュレット径200ミクロンの単結晶ダイヤモンドを用いた。加圧された試料の結晶構造は、高圧下その場におけるX線回折パターンを取得することによって決定した。試料を室温で80万気圧まで加圧したところ、コチュナイト型構造への転移が確認された。これは40万気圧以上でコチュナイト型構造へ転移するという過去の研究と整合的である。その後さらに120万気圧まで加熱し、さらにレーザーを用いて試料を約2000度へ加熱した。このような超高圧高温状態を約1時間保持したものの、X線回折パターンに変化は見られなかった。すなわちコチュナイト型構造は120万気圧まで少なくとも安定であることがわかった。窒化ホウ素については、同じくレーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いて、約15万気圧1800度の条件で立方晶構造相を合成した。さらにこの立方晶構造相を室温で50万気圧まで加圧した後、レーザーによって約2000度まで加熱し、20分程度保持したが、やはり結晶構造に変化は見られなかった。コチュナイト型構造の二酸化チタン相および立方晶構造の窒化ホウ素の双方につき、今後もより高圧の条件において相転移の可能性を検証する必要がある。
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