研究課題
今年度はシリコンカーバイドに関する実験を行った。工業的に非常によく利用されているダイヤモンドやシリコンはダイヤモンド構造と呼ばれる結晶構造をもっている。ダイヤモンド構造をもつ結晶中では、それぞれの原子が共有結合によって結合しており、この構造を持つ物質は非常に硬いことがよく知られている。またダイヤモンド構造が高圧下で相転移した高圧相は、更に大きな硬度を持つことが期待されるため、これまでダイヤモンド構造を持つシリコンカーバイドなどの高圧相の探索が行われてきた。これまでの研究によると、シリコンカーバイドは約100万気圧でダイヤモンド構造から岩塩構造へと構造相転移を起こすことがわかっているが、これらの研究は200万気圧までの圧力範囲でしか行われていなかった。そこでわれわれは、ダイヤモンドアンビルセル高圧発生装置を用いて、200万気圧以上において出現するシリコンカーバイドの高圧相の研究を行った。実験は、ダイヤモンドアンビルセルの試料室に封入されたシリカとダイヤモンドアンビルのカーボンをレーザー加熱により反応させ、240万気圧下においてシリコンカーバイドを合成し、その構造を放射光X線を用いて決定した。X線回折データによると240万気圧において合成されたシリコンカーバイドは六方晶の構造を持ちその体積は24.731(Å^3)である。これは過去の研究から推定される岩塩構造のシリコンカーバイドの体積より小さく、非常に大きな密度を持つ。今回高圧下で合成された六方晶のシリコンカーバイドはこれまで知られていたダイヤモンド構造や岩塩構造のシリコンカーバイドよりも更に高い硬度を持つ可能性が期待される。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
固体物理 40・2
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Geophysical Research Letters 32,L13313,
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Geophysical Research Letters (in press)