研究概要 |
マイクロサーマルプラズマ技術を用いて、従来のプラズマCVD、エッチング装置に比べ、100〜1,000倍の高密度反応性プラズマを直径数10〜100μmの局所領域に照射できる装置を試作し、従来の100〜1,000倍の極めて高速な表面加工、表面処理プロセスの開発を目指す。 チップ型マイクロプラズマジェット源をCADデータに従ってXY軸方向に走査できるマイクロプラズマジェットエッチング装置を試作した。まず、シリコンウエファエッチングの基礎特性とプラズマ走査の影響を評価し、続いてCADデータに基づく形状加工を試みた。まず、プラズマの走査速度がエッチング特性に及ぼす影響を調べた。SF_6ガスを下流から導入する機構を付与した小型プラズマ源をシリコンウエファ上の同一線上で繰り返し往復させて線幅400μm、長さ5mmの直線形状を10秒間エッチングした。なお、走査速度と走査回数を比例させることにより、線上の各点での正味のプラズマ照射時間は約1.6秒で一定になる。プラズマ源を走査した場合も固定した場合とほぼ同じエッチング速度が得られたが、走査速度30mm/s以上ではエッチング速度が減少する傾向が見られた。これは、プラズマによる基板の局所的加熱の効果がエッチングに影響するためと考えられる。続いて、走査速度の表面粗さへの影響を調べるためエッチング表面のAFM計測を行った結果、走査速度の上昇に伴いエッチング表面がやや粗くなる傾向が見られた。しかし、今回の実験で最も粗い表面を生じる走査速度32mm/sの場合でも表面粗さ(Ra)は10nm程度であり、かなり平坦な表面が得られることが分かった。更に、これらのエッチング基礎特性の評価実験で得られた最適装置運転条件を用いて、エッチング深さ20μm、線幅約300μmの曲線パターンをシリコンウエファ上に直接加工を行い、マスクレスエッチング装置実現の可能性を示した。
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