研究課題
1.ウラニウム試料抽出法の開発を行った。試験用標準試料(NISTのSRM-4321C及びSRM-3164)の輸入が許可されなかったために、鉛を用いて擬似的にウランを抽出する方法の開発を行い、土壌サンプルからウランを抽出する方法の確立を行った。ヨウ素試料作成用に用意されている3連電気炉の燃焼装置に改造を施し既知量の鉛(Pb)を混合した土壌からPbを取り出すテストを実施し、〜1ppm程度の鉛含有量の試料から鉛を取り出す方法を開発した。2.1.の方法で用意したPbサンプルに、コントロールとして^<102>Ru(ルテニウム102)を加え、本学の加速器質量分析システムを^<102>Ru_2分子ビームにより制御しつつ、^<204>Pb電流値を^<236>Uと見立ててAMSで、^<206>Pb電流値を^<238>Uと見立ててイオン源F-Cupで同時測定し、^<204>Pb/^<206>Pb比として、自然存在比の0.059±0.001が得られた。この結果から、^<118>Snコントロールを添加したUサンプルでも、^<236>UをAMS、^<238>Uをイオン源F-cupで測定できる事がわかった。3.標準海水(IAEA-381)に含まれている^<236>Uの測定を試みた。イオン源で生成される^<238>U負イオンは〜0.2nAと極めて弱いことがわかり、^<236>U測定は出来ない事がわかった。これは、試料にウランが殆ど含まれていないことによるものと思われた。4.^<236>Uをほとんど含まないNIST環境トレース用標準試料(SRM-612)からU試料を抽出し、^<236>UのAMS測定を行った。^<238>U負イオンは〜2nAあり、3時間の測定で10個の^<236>Uを検出した。以上まとめとして、ウラニウム試料の購入が出来ず、実試料中の^<236>U測定をする事は出来なかったが、鉛によるシュミレーション結果と極微量なウラニウム試料によるテスト結果から、土壌に含まれるウラン236のAMS測定が核不拡散条約順守検証の1方法として可能であるとの結果を得た。
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すべて 雑誌論文 (4件)
The 10th International Conference on Accelerator Mass Spectrometry, (2005), Berkeley, UCLA (In press)
地球惑星科学関連学会2005年合同大会(第16回)論文集 No.5
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第4回 21世紀連合シンポジウム-科学技術と人間-論文集 No.4
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Proceedings of the Seventh Symposium on Accelerator and Related Technology for Application No.7
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