研究概要 |
光機能と圧電機能という,全く異なる2つの機能をハイブリッド化することにより,それぞれの機能性を生かした新しい複合材料を創成するための基礎的な手法について検討した.複合化する際の問題は,光機能ガラスセラミックスの示す著しい低破壊じん性・低強度および熱による両材料の機能性の消失である.本研究では,ハイブリッド機能材料創成のための第一歩として,低融点ガラスろうを用いた圧電セラミックス/光機能ガラスセラミックスの接合法について検討した.光機能性材料として,TeO_2系ガラスセラミックスを用いた.まず,ガラス状態のサンプルを作製し,その後,適切な温度で熱処理を施すことにより準安定結晶相を析出させ,光機能性を有するガラスセラミックスを得た.作製したガラスセラミックスの光機能性に及ぼす外力や残留応力など,応力の影響を調べた結果,応力の負荷状態や大きさにより,第二高調波発現挙動に変化が認められた.結晶化温度やキュリー点,熱膨張係数などを考慮し,接合相手材には,圧電材料であるLiNbO_3単結晶を,ろう材には,PbO-Na_2-TeO_2系ガラスろうを用いた.ろう材は,TeO_2系ガラスセラミックスおよびLiNbO_3単結晶の熱膨張係数に近い値となるように組成を調整した.また,TeO_2系ガラスセラミックスの結晶化温度よりも低い温度で接合を行う必要があるため,ろう材に熱処理を施し,溶融温度を調整した.薄板状に加工したPbO-Na_2O-TeO_2系ガラスろうをTeO_2系ガラスセラミックスとLiNbO_3単結晶の間に挟み,大気炉で加熱し,接合体を作製することができた.TeO_2系ガラスセラミックスの接合部近傍の分析より,Na,Nb,Kの拡散が認められた.そこで,接合したTeO_2系ガラスセラミックスの第二高調波をマーカフリンジ法により測定した結果,拡散による光機能の低下は認められなかった.
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