研究課題/領域番号 |
15656036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 潔 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教授 (10282675)
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研究分担者 |
福田 勝己 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助手 (20134471)
下山 勲 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (60154332)
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キーワード | 自己組み立て / 疎水性相互作用 / 電気二重層 / ファンデルワールス力 / 自己組織化単分子膜 / 閉構造の組立 |
研究概要 |
平成15年度は、順序付き自己組み立ての要素技術の確立を行った。 順序付き自己組み立てを行うために、溶液中で微小粒子に働く疎水性相互作用、電気二重層による静電反発力、ファンデルワールス力の3つのバランスを制御する手法を考案した。 シリコンを材料に用い、直径10um、高さ5umの角柱形のパーツを作成し、表面を酸化してSiO2とした。SiO2は親水性である。さらに角柱の片面を金でコーティングし、金の上に末端が疎水基である自己組織化単分子膜をコーティングし、金膜面だけを疎水性とした。 このパーツをpHが6.5の溶液中で撹拌すると、微小パーツの金膜面同士は疎水性相互作用で吸着したが、SiO2面は電気二重層の反発力により、吸着が起こらない(第1ステップ)。次にこの溶液のpHを3.0に下げると、SiO2面の電気二重層が消滅する。この時ファンデルワールス力が支配的になり、SiO2同士の吸着が生じる(第2ステップ)。以上の方法で、2段階の順序付き自己組み立てを確認した。 撹拌による確率的な組立なので、集率の評価を行った。第1ステップでは68%、第2ステップまででは19%であった。またカンチレバー型の微小力センサを用いて吸着力の評価を行った。疎水性相互作用で吸着している金面は、pHによらず11.5[nN/um2]であった。またSiO2面では、pHが3.0の時のみ、0.253[nN/um2]の吸着力が生じていた。 この手法を用い、順序を付けなければ組立たない閉構造の組立を試みた。具体的には、U型のパーツを用いてチェーンを構成した。実験の結果、不完全であるが、3つのパーツによるチェーン構造が作成できることを確認した。 今後は、多段の順序付き組立、集率の向上を試みる予定である。
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