研究概要 |
高速増殖炉もんじゅの再開のための蒸発管探傷システムの開発である.得られた成果は以下のようにまとめられる. 1.プローブ列の蒸発管内での振動はプローブが尺取り虫的な運動をする摩擦による自励振動である. 2.流体による圧送方式であり,摩擦振動は挿入時の方が引き戻し時よりも大きな振動となる. 3.プローブの長さが長くなるほど摩擦振動は激しくなる.プローブが長くなる過程では顕著な振動数成分は10-20Hzにあるが,50mをこえると,21Hzの顕著な振動となる. 4.渦電流センサーによる管内外の肉厚変化測定には,この摩擦振動は有害であり,センサーの誤動作を生じる. 5.実験からの対策としては,引き戻し時にプローブをゆっくりと移動させることがセンサーの誤動作を回避するのには有効であることがわかった. 6.伝達影響係数法を用いて,極めて長いプローブ列の摩擦振動を解析した.その結果, (1)プローブが長くなると,解析が極めて困難となり,通常の振動解析では計算精度が維持できなくなる. (2)プローブが長くなると,振動が激しくなる傾向がある. (3)摩擦係数が大きいほど,振動が激しくなる. (4)本質的に不安定な系であるため,何らかの防振対策を施す必要がある. 7.対策として,以下のようなものを考え,その効果を確かめつつある. (1)摩擦係数が低いプローブを使用する. (2)プローブの先端に別のプローブを使用して動吸振器を装着する. (3)プローブのフロート間に衝撃ダンパを挿入する.
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