研究概要 |
超音波モータを用いたマスター・スレーブロボットハンドを実現するためには,まず,マスターハンド,スレーブハンドの基本設計と,超音波モータの基本特性解析を行う必要がある。このため,まず,ヒトが装着するエグゾスケルトン型マスターハンドの基本設計と試作を行った。本ハンドは1指について4自由度の可動範囲を有するうえ,3軸方向の力覚呈示が可能である。この結果,摩擦やガタの影響など,改良すべき点はあるものの,設計基準を満たしていることを確認した。また,超音波モータを各指に4個,合計20個用いたヒトの手のサイズのロボットハンドを開発し,駆動制御実験を行った。この結果,ヒトの手と同様な様々な把持形態を取れることを確認した。また,従来開発されているアクチュエータ内蔵型ロボットハンドに比べ,単位堆積あたり出力や応答速度などに優れていることを確認した。ただし,弾性要素の特性,部品の強度,皮膚の設計などに課題は残されており,これらの対策は今後の課題である。さらに,超音波モータの特性解析を行い,制御パラメータ(電圧の振幅,周波数,位相差)とモータ性能との関係を明らかにした。特に,位相差を変化させることにより,高トルク・低速域での滑らかな制御が可能であることを明らかにした。今後は,1年目に得られた知見を元にハンドの完成度を高めるとともに,微小部品のハンドリングなどの用途に適用して本ハンドの汎用性と有効性を確認する必要がある。また,触覚センサを具備した人工皮膚を配するなど,感覚系の整備も不可欠である。
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