研究概要 |
本研究の要京は,(1)ナノポア構造に似たナノカーボン材の全表面への3次元ナノコーティングと,(2)それを用いた新しい原理に基づくトンネル効果型色素増感太陽電池の可能性を探ることである。主目的は,カーボンナノチューブ等のナノカーボンを用いたトンネル効果型色素増感太陽電池の実現可能性を探索することである。具体的には次の内容を明らかにする。 (1)個々のナノカーボンの表面へ薄膜コーティングが可能かどうか。ナノカーボンと薄膜の接合状態。 (2)提案する太陽電池を高効率で駆動できる色素と色素保持層の選択に関する知見を収集するとともに,色素からの光励起電子注入機構を追究する。 初年度の具体的項目として以下の実験を行った。 (i)ナノカーボン合成…分散配向性カーボンナノチューブ(トーチアーク法),カーボンナノコイル(多元融媒CVD法),カーボンナノホーン(キャビティアークジェット法)の合成。 (ii)ナノコーティング…反応性真空アークイオンプレーティング法を用いて3次元のナノ形状を呈するナノカーボンの表面全体にワイドバンドギャップ半導体薄膜(TiO2,ZnOなど)を形成する。 (iii)ナノカーボン色素増感太陽電池セルの試作と予備実験 以上の結果,(i)については,それぞれ,量産化の目途をつけた。(ii)については,分散配向性カーボンナノチューブにコーティングを行ったが,ナノチューブ全体へのコーティング技術はまだ未完成である。(iii)については,(ii)の結果が不十分であるため,光発電ができなかった。
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