研究概要 |
カーボンナノチューブは,QMG法,MTG法によるY系バルクの製作温度では,分解してしまうことが判明した。そこで,樹脂モールド材のフィラーとしてカーボンナノチューブを使用し,機械的強度と熱伝導性の向上をはかることとした。また,調査の結果Gd系バルクが比較的低い磁場で,捕捉磁場による電磁力によって自己破壊することが判明したので,機械的強度向上策の検証用試料として用いることとした。また,捕捉磁場測定のために,低磁場用着磁コイル装置を製作した。現在,Gd系バルクは金属管に嵌合された状態で販売されている。この嵌合されたものを参照試料とし,機械加工と樹脂モールドを施した試料の比較を行うこととした。本年度の大半は,調査と準備に費やされた。 また,バルク材の特性評価のため,円盤状バルク体を用いて電動機を試作し,その動作特性を評価した。Sm系バルク材,Y系バルク材を温度条件も変えて,そのピンニング力が異なる状態にし,駆動周波数による特性の相違を検討した。その結果、両者共に周波数依存性を有することが分かった。中心到達磁場以下では駆動周波数を高くするほどトルクは小さくなる。磁束クリープの影響で駆動周波数が低いほどHTSバルク回転子への磁束侵入が容易なので,同じ電流値を印加しても大きいトルクを発生する。中心到達磁場以上では,駆動周波数を高くするほどトルクはちいさくなる。これは,渦電流増加によるトルク増大のためであると考えられる。
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