研究概要 |
本研究では,フォトニックネットワークに向けた半導体光ロジックデバイスに,如何にして光非相反性を導入し,信号の単一方向性を確保するかに関し基礎研究を行っている.特に,光非相反性を有する光論理ゲートおよび光フリップフロップの開発を具体的な目標とし,そのために必要な磁気光学金属・半導体材料の探索,具体的デバイス構造の創案,プロトタイプデバイスの試作および原理検証実験を行っている.平成15年度は以下の研究を行った. (1)半導体非相反光ロジックデバイスの解析:非相反磁気光学効果と半導体におけるキャリア誘起非線型光学効果,および光共振器を組み合わせて,非相反な光ロジックデバイス(光論理ゲート,光フリップフロップ)を実現する数種類のアイデアについて,その実現可能性を理論解析および数値シミュレーションにより検討した. (2)強磁性金属装荷導波路構造の検討:半導体非相反光ロジックデバイスを実現する上で鍵となるのは,如何にして磁性材料と導波路伝搬光を相互作用させるかである.本研究ではその一つの手法として,伝搬光のエバネッセント波が浸入するように半導体光導波路に近接して強磁性金属を配置することを試みた.TE,TM両偏光に作用させるために,導波路の上面および側面に強磁性金属を配置する作製技術について実験的に検討すると共に,強磁性金属がもたらすであろう比較的大きい光学損失について主に光通信波長(1.55μm)において実験的に評価した. (3)磁気光学結晶と半導体とのハイブリッド集積の検討:半導体光デバイスに磁気光学効果を導入する別の考え方として,YIG等の透明磁気光学結晶と半導体光導波路をウェーハボンディングにより一体化することを試した.この場合には,大きな屈折率差が存在する中で,如何に半導体中の伝搬光を磁気光学結晶材料中へ浸透させるかが課題となる.半導体基板の裏面エッチング手法により現実的な磁気光学効果が得られるかどうかを実験的に検討した.
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