研究概要 |
情報社会の多様なマルチメディア通信サービスのトラヒック変動への対応やネットワーク信頼度の向上をはかるため,効率的な光パス・ルーチング技術の研究が重要な課題である。高密度波長分割多重(WDM)通信ネットワークの光パス・ルーチングを行う光ノードでは,光電気(OEO)変換型スイッチを構成する方法が最も一般的である。しかし,高速処理LSIがボトルネックとなり,しかもドロップ回線よりも通過トラヒックが大部分の場合が多く,ノード処理の遅延時間増大やコスト増加などの問題があった。これを解決するため,光周波数シフタを用いたフォトニック・ノード構成法と,光パスのルーチング技術に関して研究を行った。 提案した光周波数シフタを用いたフォトニック・ノード構成は,ビットレートに対する柔軟性が高く,中規模DWDM(高密度波長多重)ネットワークへの適用効果が高い。このようなフォトニック・ノード構成に用いる光周波数シフタとしては,従来音響光学(AO)素子を用いおり,不要波の抑圧レベルは非常に高いが,周波数シフト量は,100MHz〜1GHzであり,チャネル当り1〜40Gbit/sの超高速光パスをスイッチングすることは困難であった。そこで,電気光学効果(EO)素子であるニオブ酸リチウム(LN : LiNbO3)を用いた光周波数シフタについて検討し,周波数シフト量を10〜40倍以上に拡大できることを明らかにした。また,光ノードで波長変換を行うバーチャル波長パス(VWP)のリンク故障に対する自己回復(セルフ・ヒーリング)特性に関して各種ルート探索法を提案し,その評価を行った。
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