多種類の蛍光ナノパーティクルを正確な混合比で抱埋した多色蛍光ビーズの作製を目指し、混合液滴形成のメカニズムが詳細に調べられた。これらの知見を基に、混合操作の制御性を高めるための研究が重点的に実施された。 本研究で利用された混合液滴形成装置は、試料溶液を蓄えた2本のノズルを備え、パルス電圧を印加することで、静電吸引力によりノズル先端から試料のジェット流が引き出される。混合操作は、一方のノズルからジェット流を引き出して基板上に最初の液滴を形成し、もう一方のノズルから射出されたジェット流をその液滴に注入することより実現される。この混合プロセスを、高速度カメラ(科研費にて購入)を用いて詳細に観察し、混合条件(ノズル間距離、液滴体積のパルス電圧依存性)の検討に反映させた。 本混合液滴形成法では、ノズル間距離(D_<cap>)が短すぎると、ジェット流が過剰に偏向され、もう一方のノズルに衝突しする。D_<cap>が長すぎると、最初の液滴にジェット流が届かず混合が実現しない。実験の結果、適切なD_<cap>の条件は、ノズル-基板間距離をH_<cap>とすると、D_<cap>=1〜1.2xH_<cap>であった。液滴体積のパルス電圧依存性を評価した結果、パルス高(500V)を固定し、パルス幅を1〜3msの範囲で変化させると良好に液滴が混合され、0.3〜2pLの範囲で比例して注入量を制御できた。 以上の知見を基に、グリセリンを主成分とするfluorescein溶液およびrhodamine B溶液を様々な比率で混合した試料スポットからなるマイクロアレイを作製した。マイクロアレイのfluorescein蛍光像は、左下のスポットがが最も輝度が高い。一方、rhodamine B蛍光像は、右上が最も明るくなるように混合量が調整されている。このようにして、各スポットで混合比率を調整してマイクロアレイを作製できることが確認された。
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