研究概要 |
モデルオンデマンド(model-on-demand)はコンピュータパワーを最大限に利用する新しいモデリング技術として近年注目されている.モデルオンデマンドは,データベースに蓄えられた大量観測データから,要求があった時に必要なデータのみを検索・抽出し,局所モデルを導出する方法である.本研究は情報通信技術を駆使することによって,モデルオンデマンドの性能限界を突破する新しい試みである. 本研発の目的は「データの分散共有によるモデルオンデマンドの予測精度の向上を実証すること」である.そのための基礎的な問題として,PID制御のパラメータのチューニングと通信ネットワークを利用した分散制御システムを取り上げた. 前者では,過去に補償器を調整して得られたPID補償器のパラメータ及び制御結果をデータベースに蓄え,所望の制御結果を得るようなPID補償器のパラメータをモデルオンデマンドで推定するものである.1次遅れ+無駄時間系からなるプロセス制御系や電気油圧サーボ系に対するシミュレーションでは所望の制御結果を得ることのできるPIDパラメータの抽出に成功した. 後者では,通信ネットワーク上に構築された分散制御系の局所コントローラが必要なデータの送受信を心要に応じて行う基本的な問題を扱い,通信遅延と性能の劣化の関係を調べたが,モデルオンデマンド固有の問題を扱うまでには至っていない.
|