研究課題/領域番号 |
15656110
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川島 一彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20272677)
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研究分担者 |
渡邊 学歩 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50334545)
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キーワード | 地震 / 断層 / 交通施設 / 震災対策 / 耐震設計 / 地震動 / 台湾・集々地震 / トルコ・ボル地震 |
研究概要 |
1995年兵庫県南部地震以降、一断層近傍の強烈な地震動に対する1次的な耐震対策は各所で実施されてきたが、断層変位による交通施設、特に高速鉄道の耐震対策は現在に至るまでほとんど何も取り組まれてきていない。兵庫県南部地震では、たまたま淡路島に断層変位が生じたが、本州側には神戸の一部(塩屋)で断層が生じ、山陽本線の線路がわずかに座屈した他は、断層変位による著しい被害は生じなかった。新幹線も幸い営業開始時間前であったことから列車の運行には被害が出なかったせいもあり、高速鉄道が断層変位に襲われた場合の対策は注目されず、現在に至っている。しかし、将来、高速鉄道が走行中に断層変位に襲われた場合には、現状に技術では対応不可能な大きな被害を受けることが予想される。 本研究は、断層を横断する箇所において、断層変位が生じても高速鉄道が脱線転覆しない技術方策を提案・開発することを目的とするものである。既往の蓄積が全くないことから、コジャエリ地震、ドュツェ地震、集集地震による鉄道線路の蛇行状態を詳細に調査し、長径間橋梁によるひずみの低減方式、エネルギー吸収装置を複数組み合わせた変位吸収装置を装備した高架橋方式、地下免震機構を有する半地下式鋼製チューブ方式をスターティングポイントとして提案・開発し、高速鉄道の脱線転覆を軽減するための課題と今後の研究につなげるための問題点を明らかにするために実施したものである。 本年度は、ドュツェ地震の際の断層変位によって大被害を受けたドュツェ高架橋の地震被害状況を詳細に照査し、断層変位が高架橋基礎に与える影響を静的断層変位と動的地震応答に分けて解析した。この結果、断層変位による杭基礎の損傷メカニズを明らかにすることができた。また、地震とは異なるが、地盤変位とこれによる橋梁の被害の関係が詳細に調査されていることから、有珠山噴火に伴う地殻変動によって被害を受けたラーメン橋を解析し、地盤変位と損傷の関係を明らかにした。
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