橋梁の中で最も橋梁延長が大きい鋼橋において、上部工の損傷に伴う架替では、鋼材の腐食と床版の破損が特に大きな比率を占めている。特に、近年は床版の破損により橋梁の架け替えに至っている事例の割合が顕著な増加傾向を示している。しかしながら、これまでの床版の疲労耐久性に関する研究は床版自体が有する構造的特徴に着目したものが多く、その材料、すなわちコンクリートや鉄筋などの特性・挙動が疲労耐久性に対してどのような影響をもたらすのかについては依然として明らかでない状況にある。特に、コンクリートの打設直後の挙動に関しては、一部に経験学的な知見はあるものの、あいまいな部分も多い。 以上のことから、床版における打設直後のコンクリートの挙動と疲労耐久性の関係を定量的に把握し、各種コンクリートの材料特性と各種床版の構造特性の双方から見た合理的な疲労耐久性評価手法の確立を行うことが必要であると考えられる。そこで、数種類のコンクリートを用いた床版を作成し、初期挙動のデータを採取した後に輪荷重走行疲労試験を行い、初期挙動によってもたらされた床版内部の状況とその後の疲労耐久性の相関を定量的に把握するための研究を推進している。 本年度はコンクリートの初期材齢時挙動の把握と適切な計測方法の選定に関する研究を実施した。特に、コンクリート内に埋設するセンサーの種類と園設置方法に着目し、研究を進めている。この結果、本研究で製作した床版に採用するのに適切なセンサーの種類と設置方法が明らかになっている。また、本研究で予定している輪荷重走行試験で使用する試験機(大阪大学保有)の試験スケジュールやコンクリート打設後の養生環境の影響を考慮し、供試体の製作は2004年3月には製作・養生が完了した。また、2004年4月中旬以降には走行試験が開始できるように関係各方面と調整を行い、準備を整えたところである。
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