先ず、砥究代表者の岩田と分担者の許は、台風期の異常波浪の来襲頻度が高く、築後30〜48年経過した海岸堤防が多くある伊勢湾と三河湾沿岸特の海岸堤防の老朽度調査と維持管理状況の現状調査を行った。また、岩田は単独で冬季風浪の厳しい富山湾沿岸の海岸堤防の老朽度調査と維持管理状況の実態調査を行った。なお、現地調査では、海岸堤防の表法面、天端と裏法面のひび割れ状況や沈下による変状を目視観測により行い、天端上のひび割れ幅と長さについては、簡易測定器により計測した。それと同時に、海岸堤防の維持管理状況をその管理者から直接面談により聞き取り調査を行った。その結果、(1)海岸管理者は所管の海岸堤防を定期的に点検しているものの、それらを時系列維持管理データベースとしてほとんど残していない。(2)築堤式海岸堤防と擁壁海岸堤防では破堤に到る変状連鎖が異なるため、個別の取り扱いが必要である。(3)海岸堤防に繁茂する雑草が海岸堤防の老朽化を促進させる。(4)築堤式海岸堤防の背後域に水域がある場合は、表法面に比べ裏法面のひび割れが著しいことなどが判明した。そして、岩田はライフサイクルを通して維持管理費を安くするためのライフサイクルマネージネントによる海岸堤防の維持管理システムのあり方について提案を行った。また、許は海岸堤防の時系列維持管理用データシートの試作を行った。
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