現在までの交通研究、特に交通シュミレーションにおいては、単純化した仮想地域を対象として何らかの考察を行い、結論を出す場合が多かったが、近年、情報機器の高速化および廉価化、GISやGPSなどの情報技術の進歩によって、実際の地域を対象に、実際のデータを使い、交通モデルの考察・検証を行い、現実問題を解決する条件が整いつつある。しかし、交通計画分野の「情報革命」は必ずしも進んでいるとは言えない。その原因の一つは、交通分析に必要不可欠なネットワークデータ作成の煩雑さにあると思われる。ほとんどが手作業のため、対象地域が広い場合は、非常に労力が必要である。 本研究は国土地理院の数値地図データベース、民間地図会社から発行するデジタル地図データおよび地図の画像から、大規穫な地域の地理座標形式の交通ネットワークデータ(ノード番号、リンク番号及びその起点ノード番号、終点ノード番号、リンク長、幅員など)をコンピュータグララィックスの手法を用いて自動作成するシステムを開発することを目的とし、今後の都市計画・交通計画のビジュアル化に資する。 本年度は、インターネットの地図画像および国土地理院が刊行する「数値地図2500」を用いた交通ネットワークデータの自動抽出システムの開発を中心に、研究を進めてきた。現在はほぼ完了し、いくつかの研究発表も行っている。来年度は、その成果を地理情報システムに取り込み、交通シミュレーション、街路網の比較分析などのビジュアル化を試みる。
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