本研究では、コ・ハウジングにおける要介護者ケア、とりわけ痴呆性高齢者のケアの実状を知り、その場合の居住者組合の運営方法、また、コーポラティブ住宅組合がケアサービスプログラムを供給することの必要性とその利点などについて明らかにし、コ・ハウジング型高齢者居住システムの方向性について考察することを目的として、本年度は、以下の課題にそって研究を進めた。 1.海外のコ・ハウジングにおける要介護者ケアの実状と問題点 今年度は、スウェーデン、オーストラリアと日本におけるコ・ハウジングの資料収集と実状の把握を中心に考察した。スウェーデンのコ・ハウジング、グループリビング等における要介護者ケアの実状と問題点や高齢者コ・ハウジングにおける要介護者ケアの事例を文献資料から収集した。さらに、オーストラリアにおける研究調査に参加し、コ・ハウジングをはじめ高齢者の住居および高齢者介護の実情を調査した。 2.日本におけるコ・ハウジングに関する要介護者ケアの課題 まず、日本におけるコ・ハウジングやコーポラティブ住宅の実例に対し、運営上の考え方、とくに要介護者ケアについての資料収集、ヒアリング調査をおこなった。これについては、要介護ケアについて対応を十分に行っている実例には乏しいことがわかった。さらに、痴呆性高齢者グループリビングの様々な実例を調査し、NPOによる運営の実例をもとに、コーポラティブ住宅組合による運営組織の可能性について考察を試みている。
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