本研究では、コ・ハウジングにおける要介護者ケア、とりわけ認知症高齢者のケアの実状を知り、その場合の居住者組合の運営方法、また、コーポラティブ住宅組合がケアサービスプログラムを供給することの必要性とその利点などについて明らかにし、コ・ハウジング型高齢者居住システムの方向性について考察することを目的として、本年度は、以下の課題にそって研究を進めた。 1.北欧コーポラティブ住宅組合によるグループリビングの現状 スウェーデンのコーポラティブ住宅組合に対し、運営理念や実情、とくに認知症高齢者ケアに関してヒアリングをおこなった。その結果、組合では独自にケアのための会社を設立し、組合居住者の支援にあたっており、公的なケアサービスと組み合わせた配慮がなされていることがわかった。近年の動向として、とくにデンマークなどで高齢者自らが積極的に住まいづくり関わるコ・ハウジングが見られるが、最近のスウェーデンでは、種々のサービスを求めて、自発的なものよりも民間のシニア住宅における共同居住に人気が高まっている実情も把握できた。 2.日本におけるコ・ハウジングに関する要介護者ケアの課題 日本の初期の高齢者コーポラティブの実例について、現在までの状況を調査した。とくに長期間経過したものでは、居住者の高齢化により共同管理の難しさが顕著に見られるようになっていることが把握できた。高齢化による居住者自身へのケアサービス要求の高まりとともに、共用施設の維持管理の課題があることが明らかになるなどの知見が得られた。
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