研究課題
東京圏と大阪圏を主な対象として、大都市圏における住宅所有市場の動態について分析を加え、あわせて近年における政府の持家政策と都市政策を、持家市場の動向に関連づけて考察した。その結果、以下のような知見を得ることができた。(1)大都市圏の住宅市場は、住宅建設と市場が回復に向かうホット・スポットと、バブル経済の崩壊以来、一貫してデフレに見舞われ、市場が動かないコールド・スポットに分裂し始めたこと、(2)ホット・スポットの形成には、都市計画の規制緩和、公有地の売却、住宅建設促進策など、政府セクターの一連の施策が大きく関係していること、(3)ホット・スポットでは超高層マンションが新型の住居形式として増え、価格形成手法、施設とサービスを豊富に組み込む空間構成、周辺地域からは切断された住宅地形成、などの側面において独特の地域空間と市場を生んでいること、この傾向はとくに東京圏において顕著であること、(4)コールド・スポットは主に郊外部に広がり、そこでは住宅の資産価値がきわめて弱化し、大規模なキャピタルロスが発生していること、(5)とくにバブル期に建設された郊外マンションは、その価格の低下幅が大きく、量的に多いことから、これから問題化していく可能性をもっていること、(6)また同時に、価格が数百万円にまで低下したマンションが都市縁辺部に増え、市場価値を失ったマンション地域が現れていること、(7)政府が現在の政策を推し進めることは、ホット/コールド・スポットのいっそうの分裂を招くと予測できること、(8)研究・理論上の課題として、大都市の住宅市場の分析にあたっては、都市の全体を対象化することの意味が低下し、サブ・マーケットの分裂化に注意する必要があること。
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Housing and the Built Environment Vol.20,No.1(印刷中)
住宅土地経済 No.52
ページ: 2-7
住宅会議 第61号
ページ: 13-18
Paper for ASEF/Alliance Asia-Europe Annual Workshop
ページ: 1-23
「都市再生」と住環境政策(日本建築学会都市計画委員会)
ページ: 13-24