研究分担者 |
吉川 友章 東京理科大学, 総合研究所 火災科学研究部門, 教授 (70284122)
若松 孝旺 東京理科大学, 総合研究所 火災科学研究部門, 教授 (20201147)
大宮 喜文 東京理科大学, 理工学部 建築学科, 講師 (10287469)
林 吉彦 独立行政法人建築研究所, 防火研究グループ, 上席研究員 (70212157)
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研究概要 |
本研究は,火災旋風の発生メカニズムを解明するとともに,火災旋風の危険性を定量的に予測するモデルの構築を行い,大都市大震災時に想定される同時多発火災による火災旋風の被害を軽減化する対策の検討に資することを目的としている。本年度は,昨年度に引き続き,火災旋風の基礎的性状や発生条件の定性的,定量的な把握を目的とし,(無風下での)模型実験を系統的に行い,併せて,火災旋風が発生した際における挙動を把握するための実用モデルの構築を目指した。下記に本年度得た知見を記述する。 i)火災旋風の発生メカニズムの実験的解明:旋回火炎の内部は,ガス濃度が非常に高くなったことを勘案すると,外気の巻き込みが容易になる火炎上方において,完全燃焼に至ることが分かった。旋回火炎の発熱速度は循環値の増大に伴い,設定発熱速度に近づき,また安定した旋回火炎形成時は燃焼効率が高くなった。無次元循環値がおよそ0.94[-]を上回ると旋回火炎へと遷移することが分かった。平均温度分布350℃における高さに対し,1.3倍を乗ずれば,旋回火炎の平均火炎高さが予測可能である。火炎内部では流体の粘性の影響により,流速は線形的に増加することが分かった。また,0.035m以降は旋回の遠心力により最大流速部分が衝立方向へ遷移するが,衝立近傍では粘性の影響により流速は0に漸近することが分かった。 ii)火災旋風のモデリング:本研究では火災旋風の発生から衰退までを表現するモデルを提案し,その試算として,旋風の発展と衰退までを表現するモデルを示した。本計算では,模型実験からモデルへ拡張するためのパラメータをいくつか使用したが,未だ仮定によるものが多く,今後,種々の条件に関しての実験を行い,有効な知見を多く得る必要があり,改良の余地はあるが,火災旋風の発生から衰退までを表現するモデルとしては十分実用に耐え得るものである。
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