研究課題/領域番号 |
15656151
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
毛利 哲夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20182157)
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研究分担者 |
陳 迎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授
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キーワード | FLAPW計算 / Fe-Pd系 / クラスター変分法 / L10規則相 / 第一原理計算 / Anti Phase Boundary / フェーズフィールド法 / 経路確率法 |
研究概要 |
昨今のフェーズフィールド法の進展は目覚しく、合金を始めとする広範な物質群の、液相から固相を含む幅広い変態現象と組織の形成過程に対して、多くの重要な知見を与える.しかし、フェーズフィールド法は基本的に現象論的な手法であり、特に方程式の中の界面エネルギーや緩和定数などの係数項には経験値やパラメターを導入する為に任意性が伴なう.これに対して、第一原理計算は任意のパラメターを含まず、確立された原理のみに基づいて熱力学量や物性値を求める手法である.しかし、第一原理計算は基本的に均一な媒体を対象にしており、組織のような不均一系の計算に応用することは極めて困難である.両手法の特長を活かし、欠陥を補完しあうことで、組織形成過程に対する任意性のない計算を行うことを本研究の目的として一年目の計算を行った. 通常のフェーズフィールド法では、濃度のような保存量に対する拡散方程式と、規則度のような非保存量に対するTDGL(Time Dependent Ginzuburg Landau)方程式を、共通の自由エネルギー密度を用いて書き下し、両方程式を連立して解いている.本研究のように規則-不規則変態を正確に取り扱う場合には、自由エネルギーを濃度のみならず、長範囲や短範囲の規則度の関数として表現する必要がある.この為に、自由エネルギーにはクラスター変分法の自由エネルギー汎関数を用いた.さらに、界面を取り扱うために、クラスター変分法の範疇で均一系の自由エネルギー式を導出した.この結果、長さのスケールと、結晶方位に対して任意性の無い定式化が可能となった. 次に、Fe-Pd系を対象にして、電子論計算で導出した原子間相互作用エネルギーを導入して第一原理から内部組織を算出した.
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