高齢化社会を迎え加齢による生体機能の低下あるいは損失を補うために、生体材料は今後ますますその必要性を増すことは明らかである。その中でもセラミックス材料は人工骨用の生体材料として注目を集めている。特に、ハイドロキシアパタイト(Ca_<12>(PO_4)_6(OH)_2)は生体との親和性あるいは整合性に優れ人工骨材料としては理想的である。しかし、力学的に弱いのが欠点である。本研究はこのハイドロキシアパタイトの生体親和性を損なうことなく、その力学的特性を向上させることが目的である。 このハイドロキシアパタイトに室温でビッカース硬度系で圧痕を印可し、その欠陥構造を透過型電子顕微鏡で観察した。圧痕直下には転位が導入されている証拠を得た。転位の導入による力学特性の向上は延性に富む金属材料では古くから用いられている手法であるが、この手法をハイドロキシアパタイトに適用し、その力学的特性の向上が期待できることを示した。
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