研究概要 |
熱力学的に平衡する半導体を用いてp-n接合を構成すれば,それぞれの相での成分の活量が等しいことから,高温においても接合部分で拡散は起きず,原理的に無限の寿命を有する素子が実現する。本研究ではNio(p)およびZnO(n)系で,高温p-n接合による高温トランジスタの作製を目的としている。これまでに,NiO(P)およびZnO(n)の2相共存系で構成したp-n接合は400℃以上で,非オーム的な整流特性を示し,1ヶ月以上の加熱でも特性が変化しないことを示した。しかし,この接合の整流比は6であり,実用には大幅な改善が必要であった。本年度では以上を基礎として,まず整流比を高めるためにドーピングの効果を調べた。NiO(P)にはLi_2OをZnO(n)にはAl_2O_3をドープした。ドーピングを行ったp-n接合の整流比は400℃で175となり,大きく特性は改善される。また,2日間の加熱でもその特性は全く変化しなかった。500℃では初期の整流比は14であり,加熱により徐々にその値が低下することが認められた。これは,ドーパントの拡散に起因するものと考えられる。2ヶ月間500℃で保持した後のp-n接合界面の分析に依れば,Alの拡散は認められなかった。よって,Liの拡散により,接合界面の特性が低下するものと考えられる。 次年度は両固溶体間のLiの濃度と活量の関係を調べ,異なるドープ量で等しい活量のp-n接合の作製を試みるとともに,薄膜化を図りn-p-nトランジスタを作製する。
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