研究課題/領域番号 |
15656175
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中嶋 英雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30134042)
|
研究分担者 |
池田 輝之 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40314421)
玄 丞均 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50346178)
|
キーワード | ポーラス金属 / 軽量高強度 / 鉄 / 鋳造 / 多孔質材料 |
研究概要 |
本研究では、加圧窒素や水素、あるいはメタンガスなどの混合ガス雰囲気中で鉄を溶解して一方向凝固させることにより蓮根型ポーラス鉄を作製し、その引張強度、圧縮強度、曲げ強度などを詳細に調べ、無垢の鉄よりも格段に強度の優れた軽量のポーラス鉄を創製することを主な目的とする。 平成15年度には、我々が新たに発明した連続帯溶融法により長尺の蓮根型ポーラス鉄の作製に成功した。この方法は、所定のガス雰囲気中で無垢の傘属棒を一部溶解しながら長手方向に移動させることにより溶解部を移動させ、一方向凝固を起こさせる方法であり、均一にポアが分散した長尺のポーラス金属を作製することが可能である。この方法により、窒素ガスあるいは水素ガス、あるいは両方のガスの混合ガス雰囲気下で蓮根型ポーラス鉄を作製した。その結果、ポーラス鉄に含まれた20ppm程度の水素は鉄の延性をわずかに損なうものの、窒素雰囲気で作製し窒素を0。05〜0。08%程度含んだポーラス鉄は引張強度、圧縮強度共に、優れた機械的強度を有し、無垢の鉄の2倍の比強度を示すことが明らかとなった。この蓮根型ポーラス鉄は密度が無垢の鉄の半分ほどなので、機械的強度を損なうことなく鉄を軽量化することに成功したことを意味する。また、窒素を含んだポーラス鉄も水素を含んだポーラス鉄も共に延性破壊を示した。このように、本研究の所期の目的を達成する方向で研究は進展している。 今後、次年度に向けてさらに系統的な研究を継続し、より軽量で、高強度を有するポーラス鉄を創製するための最適条件を見出すことにする。
|