研究概要 |
無機透明材料のナノ加工が可能になれば,極微量化学分析および極微量化学反応やさらには機能性光学部品の作製が可能になる.レーザー光などを用いた光直接加工は,マスプロダクションに向くし,回折限界までであれば微細な加工が期待できる.しかし,透明材料は透明であるためにレーザー光を吸収せずエネルギー伝達が困難である.さらに,ナノ加工を行うためには波長が10nm前後の軟X線を用いる必要があるが,安価に十分な強度を得ることは困難であった. 本研究では,軟X線によりエキシトンを生成してパターニングして着色し,そこに紫外もしくは可視のレーザー光を照射して加工するX線エキシトン法を提案した.実際,(1)Taターゲットに波長が532nm,パルス幅が7ns,エネルギー800mJ/pulseのNd : YAGレーザー光を照射することにより発生した軟X線と(2)波長266nm,パルス幅7ns,エネルギー5mJ/pulseのNd : YAGレーザー光を石英ガラスに照射することで85nm/shotの割合でアブレーションできることを実証した. さらに,レーザープラズマ軟X線を効率よく集光できる光学系を新たに設計し,レーザープラズマ何軟X線のみの照射によるアブレーション加工に関する研究を行った.これにより,石英ガラス,パイレックス,サファイア,シリコン,LiNbO_3,CaF_2,LiFを加工できることを明らかにした.特に,石英ガラスの加工について詳細な研究を行い,半径200μmの領域を,50nm/shotの割合でアブレーションでき,さらには500nmの深さまでアブレーションしても表面粗さが10nm以下の平坦な加工ができるという応用上重要な加工法を確立した.
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