ナノデバイス、マイクロマシン、ナノ医療材料、情報・電子材料など科学技術の高度化に伴い、構造材料が従来とは比較にならないほど微小な形状スケールで用いられるようになってきている。一方、記憶媒体など、高度にクリーンに保たれた空間で使用されながら僅かな損傷もシステム全体の機能停止に至る、先進機能材料の超マイルド環境での微細損傷が顕在化しつつある。さらに、様々な先進機能を発揮する複合化薄膜材料では各層の耐環境性が層間の相互作用により、大きく変化し、予想外の損傷を生じることがある。本研究では、マイクロ・ナノサイズの金属試料あるいは金属、非金属複合薄膜材料の水溶液あるいは湿潤環境での微小な環境劣化過程の試験法を確立し、さらにその機構を解明・検討することを目的としている。本年度は、特に応力負荷環境での腐食挙動の解析法と薄膜のマイルドな環境での腐食挙動について検討した。微細線を水溶液中で曲げ状態で回転することによって微小環境での腐食疲労試験を行うことができた。特に、湿潤高温環境での銅、青銅、ニッケル細線の挙動について検討した。一方、銅薄膜の水蒸気環境での腐食挙動については水晶微小天秤法(QCM)をもちいて検討した。温度、相対湿度の違いによって銅の腐食速度は変化する。いずれも初期の直線的増加から、放物線則に移行することが分かった。一方、銅膜の生成法によって腐食挙動は大きく異なり吸着水の形態がその後の挙動に大きく影響することがわかった。
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