研究課題/領域番号 |
15656194
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中野 義夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30092563)
|
研究分担者 |
小川 光輝 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10343162)
伊藤 睦弘 富士シリシア化学(株), 機能性材料部, 主幹研究員
|
キーワード | 感温性ゲル / シリカゲル / 有機・無機複合体 / 吸湿剤 / 湿度スイング / デシカント / 冷房システム |
研究概要 |
373K以下の低温熱エネルギーは、利用されることなく環境中に殆ど捨てられているのが現状である。現在、廃棄されている低温熱エネルギーの総熱量は全排熱の90%以上を占めていると言われている。従って、低温で駆動可能な熱エネルギーシステムの構築は排熱利用の重要課題の一つである。本研究では、水を作動媒体とする吸着式湿度スイング冷房システムを提案している。本システムの性能を向上させるための要件は、(1)脱湿時(再生時)の温度レベルが333K以下であること、(2)水の吸・脱湿速度が速いこと、(3)水の吸湿容量が大きいこと、にある。本研究では、この要件を満たす新規な高性能吸湿材として、初年度(平成15年度)は感温性高分子ゲル/シリカゲル複合体の開発を行い、以下に示す新しい知見を得るに至った。 (1)吸湿過程(293K)及び脱湿過程(313K)において、吸湿量の温度依存性が発現しない市販のシリカゲル担体に数wt%の感温性ポリマー(N-イソプロピルアクリルアミド:NIPA)を担持することにより、293Kで親水性、313Kで疎水性を示す感温性高分子ゲル/シリカゲル複合体の開発に成功した。293Kと313Kにおける吸湿量差は、相対水蒸気圧(P/P_0>0.26の領域で現われ、P/P_0=0.7において最大14g-H_2O/Kg-複合体を示した。このことから、脱湿時(313K)においては、複合体がより疎水化するために、再生(脱湿)を333K以下の低温度で用容易に行うことが可能となった。 (2)本システムの実用化を図るためには、吸湿量差が最大となるP/P_0をより低湿度側にシフトさせることが必要である。そこで、シリカゲル担体をミセル法により合成し、この担体にNIPAを数wt%担持した複合体を作製した。その結果、より低湿度側(P/P_0=0.36〜0.46)において、吸湿量差が108g-H_2O/kg-複合体である高性能吸湿材を開発することができた。
|