研究課題/領域番号 |
15656197
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90167403)
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研究分担者 |
野村 俊之 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (00285305)
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キーワード | ナノ粒子 / 金 / バイオ沈殿 / Shewanella algae / 鉄(III)還元細菌 / 貴金属 / ソフト溶液プロセス / ナノテクノロジー |
研究概要 |
還元細菌Shewanella algaeによるAu(III)イオンの還元実験を嫌気性条件下で行い、バイオ還元能に及ぼす操作因子の影響を検討した。初期Au(III)イオン濃度を0.1〜5.0mol/m^3、細胞濃度を3.0×10^<14>〜4.0×10^<15>cells/m^3の広範囲に変化させて還元実験を行った結果、単一細胞あたりのAu(III)イオン還元量は同程度((2.6〜3.4)×10^<-16>mol/cell)になった。また、溶液pHを中性から酸性(pH1.0)に変化させても、S.algaeによるバイオ還元は進行し、30分以内にAu(III)イオンの還元率は80〜90%程度に達した。 還元実験で採取した懸濁物(細胞と生成粒子)のXANESスペクトルをSPring-8で測定し、還元過程における金の原子価の変化を調べた。その結果、処理時間10分以降では、懸濁物にはAu(III)は存在せずにAu(0)が存在したことから、S.algaeによるAu(0)粒子の生成は迅速に起こることが確認された。 バイオ還元実験(溶液pH7)の終了後に採取したS.algae細胞の切断面をTEM観察したところ、細胞壁と細胞膜の間に位置するペリプラズム空間に数多くの金ナノ粒子(粒子径10〜20nm)が存在することがわかった。これら生成粒子の同定をSTEM-EDX分析によって行い、生成粒子は金によって構成されていることを再確認した。 溶液pH1.0〜2.0の酸性条件下では、金粒子の生成場は細胞外(溶液中)へと変化し、その粒子径は50〜400nmにまで増大するとともに、粒子の形態が変化することが見出された。溶液pHの変化に伴う粒子生成場の変化は、ペリプラズム空間に存在するであろう還元酵素が、細胞外に放出されたことに起因すると考えられる。さらに、金ナノ粒子の形態や粒子径を制御する上で、溶液pHは重要な操作因子の一つであることが明らかになった。
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