研究概要 |
本研究で提案する自己破砕性スマートコンクリートは,コンクリート中に再生PET樹脂の小片を骨材の一部として混入した上,外部からの加熱によって生じる熱応力を駆動力としてコンクリート中にき裂を発生・成長させることを狙ったものである.今年度は,加熱方法としてマイクロ波照射のほかに補強鉄筋への通電加熱を行い,コンクリートを破砕することを試みた.また,PET樹脂の混入による機械的特性の低下を定量的に評価するために,圧縮試験による強度評価を行った.通電加熱試験の結果から,PET樹脂の混入量が5%程度以上では,約150℃の昇温でコンクリート試験体全体にき裂を発生させることが可能であることが明らかになった.また,ここで用いた試験体については,破砕に要する時間は数十分から一時間程度であったが,今後,コンクリートの体積や鉄筋配置などを考慮して,定量的に破砕エネルギーを評価する必要がある.一方,圧縮強度については,PET樹脂の混入量が5%で約15%程度低下することが明らかになった.また,混入するPET樹脂一個あたりの体積が大きくなるほど強度低下が顕著であることが明らかになった.今後,PET樹脂とコンクリートとの界面強度が全体の強度特性に及ぼす影響について考察する予定である.さらに,次年度は実機レベルでの破砕性能試験を行うとともに,大型構造物への適用を想定した施工性試験についても検討を進める予定である.
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