モード変換器の設計・製作と実験装置の製作を行い、本方法による欠陥検出可能性を実験により評価した。得られた成果は以下の通りである。 1、空洞長さのみをステップモータを利用して調整し、異なる周波数に対するモード変換が可能であるモード変換器を製作した。さらに、モード変換した電磁波を配管内に導き、遮断周波数近傍で使用するために、テーパー状の円筒管を設計・製作し、デジタルマルチメータを使用して性能の評価を行った。 2、モード変換器で使用する周波数に合わせてプランジャー位置を調整すれば、広い周波数帯域において透過する入射波強度を高いレベルで維持する事が可能である。 3、理論的に予想していた結果と実験結果は定性的には一致しているものの、定量的にはずれが見られた。この要因として、実験で測定している反射波の共振による影響が考えられる。 4、被測定管部に仮想的に比較的幅の広い亀裂を入れ、その幅を変化されると、亀裂の幅が大きくなるほど反射波のレベルが大きくなる点が遮断周波数以上の領域に存在し、亀裂の検出が可能である。 5、比較的幅の狭い亀裂は、遮断周波数以下の領域での差に注目することにより検出できる可能性がある。 さらに実験を進め、以下の成果を得た。 6、き裂検出を行う体系において全反射板と無反射終端を用いた評価実験を実施し、被測定管に電磁波が透過する条件を特定することで周方向き裂検出に有効な条件の特定に成功した。 7、周方向き裂の存在検出には遮断周波数近傍及び以上の円形TM_<01>モードの電磁波が利用できることをより定量的に実証した。また、同電磁波においてき裂幅、深さに依存した変化が現れたことからき裂幅、深さ検出に有効であることを確認した。
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