研究概要 |
事故廃液や高汚染水からの放射性核種を一括して吸着できるマイクロカプセルを開発した。バイオポリマーでイオン交換体および有機抽出剤を包括固定した多機能のマイクロカプセル(多元機能マイクロカプセル)を調整し、放射性核種の吸着特性および物性評価を実施し、以下の研究成果を得た。 1、ゲル化溶液および混練法を変えることにより,核種の吸着速度および分配係数を向上させることが可能であった。 2、吸着速度および分配係数を測定した結果,すべての金属元素に対して6時間程度で平衡に到達し,Cs,Sr,Y,EuおよびAmに関しては90%以上の高い吸着率が得られ,Coの吸着率は40%程度であった。10^<-3>M HNO_3共存下でのK_d値は,Cs:1.1x10^4,Sr:1.0x10^3,Co:4.7x10,Y:5.1x10^4,Eu:6.5x10^4およびAm:9.8x10^4cm^3/gと極めて高い値が得られた。 3、マイクロカプセル断面のEDSスペクトル分析から,NiFCおよびclinoptiloliteにCs^+,clinoptiloliteにSr^<2+>,DEHPAにY^<3+>およびEu^<3+>,NiALGにY^<3+>およびEu^<3+>が取り込まれていることが確認された。 4、マイクロカプセルの飽和吸着量は,Cs:0.063mmol/g,Sr:0.011mmol/g,Y:0.051mmol/gおよびEu:0.173mmol/gであった。また飽和吸着量の比較から,アルギネートで包括固定した場合でも性能は維持されていることが分かった。複数の核種を混合した溶液に対しても,単独の溶液での実験の結果とほぼ大差はなかった。 5、今後の課題として、飽和吸着量が市販されている交換樹脂などと比較して低い為,吸着剤および抽出剤の限界添加量の検討および機械的特性の評価などが重要である。
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