研究概要 |
本研究は従来の反応性セラミックによる1500℃付近における2段階水分解熱化学サイクル,M_xO_y=M_xO_<y-δ>+δ/2O_2(高温酸素放出反応)M_xO_<y-δ>+δH_2O=M_xO_y+δH_2(低温水分解反応)の反応系に,紫外-可視光応答性のある光半導体を導入して反応温度を低温化させる新しい「光-熱ハイブリット活性型の反応性セラミック」を開発することを目的とする。すなわち,研究代表者が新たに見出したフェライト担持体の水熱分解性セラミックの系に光半導体セラミックを導入する。 1.フェライト/ZrO_2体(反応性セラミック粒子)において,ZrO_2担体を光半導体であるTiO_2,SrTiO_3に変える検討を行ったが,鉄酸化物が担体成分であるチタンと反応し,安定な化合物を生成するため,低温水分解に不活性になることが分かった。 2.フェライト以外の反応体としてWO_3系の酸化還元系を考案した。W_3はそれ自身も光半導体である。WO_3/ZrO_2体を合成し,これをメタンを還元剤として活性化して水分解試験を行った。還元相はWO_2_/ZrO_2_体であり,予測通り1000℃で水分解が可能で,またサイクル反応性も良好であった。'熱力学的にはフェライト系と比較して酸素放出反応が不利となるが,光活性が補えば水分解反応性セラミックとして1500℃以下でも機能する可能性がある。 3.模擬太陽集光発生装置を設計・作製するとともに,石英窓を有する模擬反応装置の設計・作製を行った。反応装置の設計では粉末の固定層に光照射する方式を考えていたが,この方式が大型化に対しては実用的でないことから,反応性セラミック微粉体をセラミック発泡体に担持した反応デバイスで模擬反応試験を行うこととした。そのため来年度は,この反応デバイスの作成についても検討する必要がある。
|