研究概要 |
大気CO2濃度上昇が植物の光合成,成長,繁殖機能に与える影響と植物の進化応答機構を明らかにすること;長い間,高CO2環境に曝されてきたと考えられるCO2スプリングの周辺に生育する植物の光合成特性を調べ,それが遺伝的に固定されているかを明らかにすること;世代時間が短い植物を用いて,人為選択や交配による強い淘汰圧をかけ,器官間のバイオマス分配,葉の解剖学的性質,光合成系タンパク質分配を調べること;高CO2濃度条件下で成長を最大にする植物の性質をモデルによって予測し,選抜した植物は,高CO2濃度下で最適にふるまうようになるかを明らかにすることを目的に研究を行った. (1)八甲田山・月山のCO2スプリング周辺のCO2濃度分布と季節変化,そこに生育する植生を調査し,その対応関係を明らかにする.調査は5月から9月にかけて行った. (2)大気CO2濃度によって植物の光合成特性にどのような差異があらわれているか分析する.葉の解剖学的性質,光合成系タンパク質分配を調べる.オオイタドリ,ノリウツギ,チシマザサなど.5月から9月にかけて調査した.CO2応答に対する土壌,光環境の影響を調べた. (3)5月にCO2スプリング周辺から植物(オオイタドリ・オオバコ)の地下茎を採取し,植物を東北大学実験園に設置されているOTCに移植し,光合成特性の差異が遺伝的に固定されているかどうかを解析した.気孔コンダクタンスの低下,デンプンの蓄積量の低下が見られた.
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