我々がクローニングに成功したシロイヌナズナの2種のクロロフィラーゼ、特に葉緑体非局在性のクロロフィラーゼ(AtCLH1)の過剰発現株と破壊株を作出し、これらの株の病原菌に対する耐病性を解析することによって、このクロロフィラーゼの新規な機能と予想される植物の病害防御への関与を明らかにするのがこの研究の目的である。 本年は当初の研究計画に基づき、(1)シロイヌナズナのクロロフィラーゼ遺伝子の過剰発現株と破壊株の作出 (2)T-DNA、トランスポゾンタグラインからのクロロフィラーゼ破壊株の検索、の2点に研究を絞った。 (1)についてはTMV35Sプロモーターの下流に、すでにクローニングされたシロイヌナズナの2種のクロロフィラーゼ(AtCLH1およびAtCLH2)のcDNAをセンス、アンチセンスの向きに導入し(プラスミド、pBl121)、アグロバクテリアを介してシロイヌナズナに導入した。カナマイシンでスクリーニング後、センス、アンチセンスを確認後それぞれのラインを確定した。代表的なそれぞれのラインをMS寒天培地で生育させたところ、表現型はどの変異体も野生株と比べ変化はなかったが、AtCLH2のセンス株だけは開花が野生株より早かった。クロロフィラーゼの量および活性はどの株も野生型とほぼ同じであった。 (2)については検索中である。 今後、これらの株のクロロフィルおよびその中間代謝物の量を調べ、さらに薬剤耐性などを調べる予定である。(2)についてはひきつづき検索を行う。
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