研究概要 |
本年度はまず、まず斑入りパターンが生じることとプラスチドの維持分化とに関連性を見出すために、生長点から葉が分化する時期(葉原基)におけるプラスチドを斑入り突然変異体で観察した。その結果、プラスチドの分裂自体には変異体でも異常が見られないが、チラコイドが分化する時期から野生型と比べて異常が観察されることから、FtsHはチラミコイド分化に関与することが示唆された。さらに、斑入りのパターン形成と環境条件などの関わりについて、これまでに単離したvar2のアリルを用いて解析した。さらに、これまでの研究により単離しているvar2のアリル17系統についてVAR2遺伝子座の塩基配列を決定して突然変異を全て明らかにし、VAR2タンパク質にアミノ酸を生じる変異を5カ所同定した。これらの変異のうち3カ所はATPase活性に重要であると考えられるWalkerモチーフに変異が生じていた。残りの2カ所の変異については次年度に詳しい解析を行う予定である。 FtsHに関する生化学的な解析については、均一な実験材料を得るために今年度はvar1,var2両変異体からカルスを誘導し、そこから葉緑体を持つ液体培養細胞を作製することを試みた。カルス誘導および継代培養の結果、固体培地上で緑化したカルスを得ることができたので、次年度以降の実験に用いることにした。 今年度はさらに、var1及びvar2変異体からそれぞれエンハンサー及びサプレッサー変異体を得ることを試み、それぞれの種子をEMSにより変異処理し、自殖によるM2種子を採取したので、これらをスクリーニングに供試する予定である。
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