• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

単細胞光合成生物における新規セレノプロテインの探索および生理機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15657026
研究機関筑波大学

研究代表者

白岩 善博  筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40126420)

キーワードハプト植物 / 円石藻 / セレノプロテイン / セレン化合物 / セレン代謝 / セレン / 微細藻類増殖制御因子 / 微量元素
研究概要

円石藻とは、ハプト植物門円石藻綱に属し、細胞表面に方解石型炭酸カルシウムからなる結晶構造体(ココリス)を有する海洋性の単細胞藻類である。白亜紀におけるドーバー海峡の白い崖形成の原因生物としても知られ炭素循環に多大な影響が有るが、その増殖を制御する要因は不明であった。我々は、円石藻の増殖に稀少元素セレンが必須元素として要求されることを既に発見し、円石藻細胞におけるセレンの機能について研究した。円石藻Emiliania huxleyiに放射性亜セレン酸(^<75>Se)を添加し、特異的に^<75>Seラベルされたタンパク質を検索し、cDNAクローニングを行い、6種類のセレノプロテインを発見した。その中のEhSEP2は、セレノシステインを構成成分とし、チオレドキシンドメインを良く保存したプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)である可能性を示した。本年度においては、EhSEP1について解析し、それがチオレドキシンレダクターゼと相同性が高いことを見いだした。その配列は、他の生物のそれとは異なる配列を有していることを明らかにした。更に、細胞内低分子セレン化合物の分析を行った。そして、細胞内へ取り込まれたセレンが低分子のセレン有機化合物として細胞内に保持され、その一部がセレノプロテインへと転換されることが明らかとなった。その低分子化合物として、Se-メチルセレノシステインを同定した。この中間代謝産物は、陸上植物の細胞内に取り込まれたセレンを揮発性のセレン化合物に変換し、大気中へと放出する代謝系で機能するものであった。本研究によって、我々は、円石藻がセレノプロテインを合成してセレンを機能分子として利用する動物型のセレン代謝機構、およびセレンの毒作用を回避する陸上植物にみられる解毒機構の両方を併せ持つ生物であることを明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A novel selenoprotein in the haptophyte alga Emiliania huxleyi2005

    • 著者名/発表者名
      Shiraiwa, Y., Obata, T.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 286

      ページ: 18462-18468

  • [雑誌論文] Low temperature stimulates cell enlargement and intracellular calcification of coccolithophorids.2005

    • 著者名/発表者名
      Shiraiwa, Y., Sorrosa, J.M
    • 雑誌名

      Marine Biotechnology 7

      ページ: 128-133

  • [雑誌論文] Alkenone synthesis in Emiliania huxleyi probed with radiolabeled substrate and a fatty acid synthesis inhibitor2005

    • 著者名/発表者名
      Shiraiwa, Y.
    • 雑誌名

      Recent Advances in Marine Science and Technology, 2004

      ページ: 27-36

  • [図書] 円石藻におけるココリス形成と光合成:海洋生命系のダイナミクスシリーズ(全5巻)第2巻:海洋生物の機能-生命は海にどう適応しているか (竹井祥郎編)2005

    • 著者名/発表者名
      佐藤真奈美
    • 総ページ数
      428
    • 出版者
      東海大学出版会

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi